高齢者のむせ込みを防ぐ「とろみ剤」をキッチンで準備する介護スタッフ。ダマにならない正しい使い方として泡立て器で混ぜており、手前には状態に合わせた3段階の濃さの液体が並んでいます。

「お茶や汁物を飲むと、おじいちゃん(おばあちゃん)が激しくむせてしまう…」

高齢者の食事でこのような場面が増えたら、飲み込みをサポートする「とろみ剤」の出番です。しかし、いざ使おうとすると「どのくらいの濃さにすればいいの?」「ダマになってしまって飲みにくい」と悩む方も多いはず。

本記事では、とろみ剤の正しい選び方や、ダマにならない作り方のコツを分かりやすく解説します。

なぜ高齢者の食事に「とろみ剤」が必要なの?

加齢や病気によって飲み込む力(嚥下機能)が低下すると、食べ物や飲み物が誤って気管に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」のリスクが高まります。

実は、固形物よりも「お茶や水などのサラサラした液体」の方が、喉を流れ落ちるスピードが速いため、気管のフタが閉まるのが間に合わず、誤嚥しやすいと言われています。 そこで、液体に適度な粘り気(とろみ)をつけることで、喉を通るスピードをゆっくりにし、安全に飲み込めるようにサポートするのが「とろみ剤」の役割です。

失敗しない!とろみ剤の「選び方」と3つの段階

とろみ剤は、ご本人の飲み込む力に合わせて「適切な濃さ」を選ぶことが重要です。とろみの強さは、大きく分けて以下の3段階の目安があります。

1. 薄いとろみ(フレンチドレッシング状)

スプーンからすっと流れ落ちる程度の、ごくわずかなとろみです。「お茶を飲むと、たまに軽くむせることがある」という初期の段階に適しています。

2. 中間のとろみ(とんかつソース状)

スプーンからトロトロと落ちる状態です。コップから直接飲むこともできますが、まとまりがあるため気管に入りにくくなります。「むせることが増え、むせ方も激しくなってきた」という方におすすめです。

3. 濃いとろみ(ケチャップ状)

スプーンですくうと、ボテッと塊で落ちる状態です。液体というよりゼリーやペーストに近く、コップから直接飲むのは難しいため、スプーンで口に運びます。嚥下機能の低下が顕著な方に適しています。

※とろみが強すぎても喉に張り付いて危険な場合があります。初めて使用する際は、医師や言語聴覚士などの専門家に相談して最適な濃さを確認しましょう。

ダマにならない!とろみ剤の正しい使い方・作り方

とろみ剤は、適当に混ぜると「ダマ(粉の塊)」ができてしまい、喉に詰まる危険があります。以下の手順で正しく作りましょう。

手順1:かき混ぜながら「一気に」入れる

飲み物が入ったコップをスプーンで素早くかき混ぜて「水流」を作り、その渦の中にとろみ剤をサッと一気に入れます。粉を少しずつ入れるとダマになりやすいので注意してください。

手順2:約1分間、しっかりとかき混ぜる

粉を入れた直後から、底の方からすくい上げるように、素早く1分ほどかき混ぜます。

手順3:数分間放置して、とろみを安定させる

とろみ剤の種類や飲み物の温度(冷たいお茶や、牛乳など)によっては、すぐにとろみがつかない場合があります。混ぜた後、2〜3分ほど置いておくことで、しっかりと安定したとろみがつきます。最後に濃さを確認してから提供しましょう。

【重要】食事の工夫だけでは不十分?盲点となる「お口のケア」

とろみ剤を正しく使えば、食事中のむせ込みや誤嚥のリスクを大きく減らすことができます。しかし、実は「食事の時間」以外にも、誤嚥の危険が潜んでいることをご存知でしょうか?

就寝中の「唾液」と「お口の細菌」に注意

高齢になると、夜間寝ている間などに、お口の中に溜まった唾液が少しずつ気管へ流れ込んでしまうことがあります(不顕性誤嚥)。この時、お口の中に汚れ(細菌)が残っていると、唾液と一緒に細菌が肺へと運ばれ、深刻な健康トラブルを引き起こす原因となります。

つまり、とろみ剤で食事を安全にするだけでなく、「毎日の歯磨き(口腔ケア)」でお口の中を徹底的に清潔に保つことが、誤嚥対策には不可欠なのです。

うがいができない時はどうすればいい?

しかし、「とろみ剤が必要な方=お茶でむせる方」です。お口をゆすぐ「うがいの水」でも当然激しくむせてしまうため、十分な口腔ケアができずにお困りのご家族や施設スタッフは少なくありません。

「うがいをさせるとむせる」「お口を清潔に保つのが難しい」とお悩みの方へ

食事の工夫(とろみ剤)とセットで知っておきたい、高齢者の「むせ・誤嚥」の根本的な原因と、うがい不要で安全にお口を洗える最新のケア方法について、以下の記事で詳しく解説しています。

ご家族の健やかな毎日を守るために、ぜひ併せてお読みください。

高齢者の「むせる(誤嚥)」原因と対策。安全な食事と口腔ケア完全ガイド »

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