
- 「口に水を含ませても、そのまま飲み込んでしまう」
- 「ペッて吐き出して、と伝えてもやり方がわからないみたい…」
ご自宅や施設での介護において、高齢者が「うがいをできない」ことは、介助者にとって非常に大きな悩みの種です。
本記事では、なぜ高齢になるとうがいが難しくなるのかという理由と、水を使わずに安全にお口を綺麗にする「拭き取りケア」のコツを分かりやすく解説します。
なぜ高齢になると「うがい」が難しくなるのか?
私たちが毎日無意識に行っている「うがい(水を口に含み、頬や舌を動かして洗い、タイミングよく吐き出す)」という動作。実はこれ、脳と筋肉の高度な連携が必要なアクションです。高齢者がうがいできなくなるのには、主に2つの理由があります。
1. 認知機能の低下(やり方を忘れてしまう)
認知症などが進行すると、「水を口に含む」「吐き出す」という指示の理解が難しくなります。渡されたコップの水をそのまま飲み込んでしまったり、口を開けたまま水がこぼれてしまったりするのは、決してわざとではありません。
2. お口周りの筋力・嚥下(えんげ)機能の低下
水を口の端からこぼさないように唇を閉じる力や、水を喉の奥へ流さないようにせき止める力が弱くなります。無理にうがいをさせようとすると、誤って水が気管に入り、激しくむせてしまう(誤嚥のリスク)ため大変危険です。
うがいができない方への「水を使わない」口腔ケア3つの手順
うがいができない(または、むせてしまう)方に対して、コップで水を含ませるケアは絶対にNGです。以下の「水を使わない(拭き取る)」方法で、安全にケアを行いましょう。
手順1:口腔ケア用のウェットティッシュで汚れを拭う
まずは、指に巻き付けて使える専用の「口腔ケア用ウェットティッシュ」を使います。歯の表面や、頬の内側、上あごなどについた食べカスやネバネバした汚れを、優しく拭き取ります。
手順2:水で湿らせた「スポンジブラシ」を活用する
細かい汚れには、柄のついたスポンジブラシが便利です。コップの水にスポンジを浸した後、「必ずコップのふちでギュッと固く絞ってから」口の中に入れます。水気が多すぎると、絞り汁が喉に流れて誤嚥の原因になるため注意してください。
手順3:泡立たない「ジェル状」の保湿剤や歯磨きを使う
一般的な歯磨き粉は、泡が口にいっぱいになり、うがいをしないと気持ち悪さが残ります。うがいができない方の場合は、そもそも泡立たず、拭き取るだけでケアが完了する「ジェル状」の口腔ケア用品を使用するのが鉄則です。
拭き取りケアの限界。「やっぱり水で洗ってあげたい」というジレンマ
ここまで、安全な拭き取りケアの方法をご紹介しました。しかし、実際に毎日ケアをしているご家族や施設スタッフからは、こんな本音(お悩み)もよく聞かれます。
- 「拭き取るだけだと、奥の汚れまで本当に落ちているのか不安…」
- 「スポンジでこすると痛がるし、お口の中がスッキリしないみたい」
- 「やっぱり、お水でサッパリと洗い流してあげたいけれど、むせるのが怖くてできない」
拭き取りケアは安全な反面、「水流で汚れを洗い流す」ほどの洗浄力を持たせるのは難しく、お口の衛生環境(細菌の繁殖)に不安を残すというジレンマがあります。
「うがいができないけれど、水でしっかり洗ってあげたい」という方へ
拭き取りケアの限界を感じている方にご紹介したいのが、ご本人が自力で「うがい(吐き出し)」をする必要がない、新しい口腔ケアの仕組みです。
むせる不安を和らげ、安全にお口を水洗いする画期的な方法について、以下の記事で詳しく解説しています。



